ホルモン感受性リパーゼ(HSL)とは異なる脂肪細胞内TG水解酵素の特性

1東京大学医学部糖尿病代謝内科、2筑波大学臨床医学系内科代謝内分泌

岡崎啓明1、大須賀淳一1、飯塚陽子1、矢作直也1、大橋健1、原田賢治1、後藤田貴也1、島野仁2、山田信博2、石橋俊1

【目的】HSL欠損の脂肪細胞分化、脂肪分解に及ぼす影響を、野生型(+/+)とHSLノックアウトマウス(-/-)の胎仔線維芽細胞由来脂肪細胞を用いて検討した。【方法】1.HSLの発現をウェスタン、ノーザン・ブロットで解析。2.aP2、PPARγ、C/EBPαの発現をノーザン・ブロットで解析、細胞内TG含量を測定。3.イソプロテレノール(ISO)、TNFα添加後、培養液中グリセロール濃度を測定。【結果】1.-/-でHSL発現認めず。2.遺伝型間の有意差なし。3.ISOにより+/+、-/-とも有意な脂肪分解を認め(0.404 vs. 0.183μmol/mg protein; p<0.05)、PKA阻害剤により35%阻害された。TNFαにより+/+、-/-とも脂肪分解を認めた(0.15 (p<0.05) vs. 0.12 (p=0.0586))。【考察・結語】HSL-/-でも脂肪細胞分化、脂肪分解が見られた。HSLとは異なる未知の細胞内TG水解酵素の存在が確認され、この酵素はcAMP依存性であることが示された。