β3アドレナリン受容体Trp64Arg変異ホモ接合体67例の臨床的特徴

東京大学医学部第3内科、日本医科大学第2内科

矢作直也、石橋俊、孫黎明、飯塚陽子、塩之入太、大橋健、大須賀淳一、原田賢治、後藤田貴也、福生吉裕、山田信博、矢崎義雄

【目的】 ヒトβ3アドレナリン受容体(β3AR)のTrp64Arg変異と肥満との関連に関し、肯定および否定の多くの報告があるが、Trp64Arg変異ホモ接合体例についてはいずれの報告も例数が少なく、有意義な解析がなされていない。Trp64Arg変異と肥満との関連をより明らかにするためにTrp64Arg変異ホモ接合体例の臨床的特徴を記述する。 【方法】 検診受診者746例(Group1)と代謝外来患者371例(Group2)を対象に、Trp64Arg変異をPCR-RFLP法にて診断し、BMI、血圧、血中脂質、HbA1c等の臨床指標について解析した。 【結果】 1.Trp64Arg変異ホモ接合体例に肥満/高血糖の傾向は認められなかった。 2.男性のみ、収縮期血圧がTrp64Arg変異ホモ接合体例において有意に高値を示した。 3.Group1の男性において、Trp64Arg変異ホモ接合体例のLDLコレステロールが有意に低値であった。 【結論】 β3アドレナリン受容体(β3AR)のTrp64Arg変異が肥満や糖尿病の遺伝的成因として重要とは考えられなかった。