肥満マウス(ob/obマウス)のDNAマイクロアレイによる解析

東京大学医学部糖尿病代謝内科、筑波大学臨床医学系内科(代謝・内分泌)

矢作直也、島野仁、関谷元博、冨田佐智子、岡崎啓明、田村嘉章、飯塚陽子、大橋健、原田賢治、後藤田貴也、石橋俊、山田信博、大須賀淳一、木村哲

【背景】ob/obマウスはレプチンの欠損により著明な肥満、高血糖、インスリン抵抗性を呈する。
【目的と方法】ob/obマウスの脂肪組織と肝臓の各種遺伝子の発現状態を調べるため、ob/obマウスの脂肪組織と肝臓よりmRNAを抽出し、DNAマイクロアレイにより約8000個の遺伝子の発現レベルを定量した。
【成績】意外なことにob/obマウスの脂肪組織では中性脂肪合成系関連の諸酵素の遺伝子発現量が著明に低下していることがわかった。それらの転写を司る転写因子のSREBP-1のmRNA量も著明に減少していた。肝臓ではいくつかの糖代謝関連酵素の遺伝子発現量が増加していた。
【結論】脂肪組織での中性脂肪合成系関連諸酵素の遺伝子発現量低下は脂肪細胞のインスリン抵抗性状態を反映しているものと考えられ、そのメカニズムの究明はインスリン抵抗性の病態解明に役立つものと予想される。