原発性低脂血症における短縮型アポBの検索

1東京大学医学部糖尿病代謝内科、2同感染症内科、3徳島文理大学大学院薬学研究科、4聖マリアンナ医科大学腎臓・高血圧内科、5和歌山県立医科大学第3内科、6筑波大学臨床医学系内科

大橋健1、石橋俊1、大須賀淳一1、後藤田貴也1、木村哲2、村上透3、石田尚志4、湯川進5、山田信博6

【目的】原発性低脂血症患者においてアポ蛋白B遺伝子の異常により短縮型アポBをきたす症例を検索した。
【方法】検診などで偶然発見された低脂血症患者15例(血中総コレステロール34〜156mg/dl)の血漿から超遠心法によりリポ蛋白を分画採取し、SDS-PAGEにて短縮型アポBの有無を調べた。また、短縮型アポBを認めた症例ではアポB遺伝子変異の解析を行った。
【結果】アポB-38.7、B-54.4およびB-54.8の3例の短縮型アポBを見い出し、各々のアポB遺伝子変異を決定した。前二者はホモ接合体、後者はヘテロ接合体で、短縮型アポBをホモで持つ症例は、世界で数例しか報告がない。また、15例のうち2例はMTP遺伝子変異による無βリポ蛋白血症であった(既報)。
【総括】短縮型アポBによる低脂血症3例を同定し、アポB遺伝子変異を同定した。一方、同等の低脂血症を呈しながら短縮型アポBを認めない症例が多く、短縮型アポBによらない低脂血症の存在が示唆された。